多雪地域で山形トラスは不利?平行弦トラスとの比較で学ぶ木造構造計画
「スパンを大きく飛ばすにはトラスが良い」とよく言われます。
しかし、多雪地域の木造倉庫や工場にトラスを採用する際には注意が必要です。
本記事では、構造計画の初期段階で行う略算をベースに、トラスにどのような力が働くのか、また「山形トラスは多雪地域では厳しい」と言われる理由について解説します。
(※実施設計では必ず解析ソフトを用いた詳細計算が必要です)
このコラムでわかること
多雪地域におけるトラス設計の基本
雪荷重が設計の大きな決め手になる
多雪地域では、鉛直荷重に対する設計は「雪が最大に積もった短期積雪時」の状態が 設計の大きな決め手になります。
特に 接合部にかかる応力 が大きくなり、部材断面や接合金物の選定に直結します。
端部反力の算定
例えばスパン10.01m、トラスピッチ2.73m、積雪量1.5mを想定すると、端部反力は75kNとなります。
これは単純梁でもトラスでも変わりませんが、応力の流れ方は大きく異なります。
平行弦トラスと山形トラスの違い
平行弦トラスの特徴
WOODCOREの規格倉庫で採用しているのは「平行弦トラス」です。
端部の斜材角度を45°とすると引張力は106kN。これはMPねじtype-Lの短期耐力(99kN)を超えてしまいます。
そこで設計テクニックとして、斜材角度を立てることで応力を軽減できます。
例えば60°にすると引張力は86kNに減り、耐力内に収まります。
■平行弦トラスは、角度調整によって接合部応力をコントロールできるのがメリットです。
山形トラスの特徴
一方で屋根勾配を4寸とした山形トラスでは、
●下弦材に187.5kNの引張力
●登り梁に202kNの圧縮力
と大きな応力が発生します。
山形トラスは角度が急な分、応力が増大するため、雪荷重が大きい地域では設計上かなり厳しくなるのです。
■デザイン的には軽快に見える山形トラスも、多雪地域では不利であることを理解しておく必要があります。
トラス設計で押さえるべきポイント
●接合部耐力の確認:短期積雪時の最大応力に対して余裕があるか
●部材の納まりと加工性:下弦材・母屋・ブレースの配置が合理的か
●構造計画の進め方:スパンやトラスピッチを検討しながら成立条件を見極める
WOODCOREでは実施設計の段階で、下弦材の引張や束の圧縮、他部材の納まりまで詳細に検討し、施工性やコストも考慮した図面化を行っています。
まとめ ー多雪地域でのおすすめトラス計画ー
●平行弦トラスは応力を調整しやすく、多雪地域に適した形式
●山形トラスは応力が大きく、雪荷重の大きい地域では不利
●計画初期に略算で当たりをつけ、実施設計で詳細検討することが重要
WOODCOREのコストダウンのカギは、「最適な構法選択」にあります。
建物の用途やスパン、積雪条件に応じて最適な工法を選び、過剰な設計や材料のムダを省く——これが、WOODCOREが提案する非住宅木造の合理性です。
WOODCOREは、住宅プレカットで培ったノウハウをベースに構造計算・加工・納品・現場施工までをトータルでサポートする体制が整っており、コスト削減に大きく貢献します。
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