木造でも実現できる大空間!~木造建築の可能性を広げるトラス構造~
木造建築は、日本の伝統と現代の環境配慮を両立する建築手法として、住宅だけではなく非住宅分野でも注目を集め、広く採用されています。
しかし、木材の特性上、長スパンの構造設計には制約があり、体育館や倉庫、店舗といった大空間の木造建築にはこれまで限界がありました。
このコラムでわかること
木材の特性と大スパンの課題
木材は軽量で加工性に優れ、再生可能な資源であるため、持続可能な建築材料として高く評価されています。
しかし、鋼材や鉄筋コンクリートに比べると剛性(変形しにくさ)が低く、スパンが長くなると梁がたわみやすいという構造的な課題があります。
とくにスパン(柱と柱の間の距離)が6mを超えるような場合、梁のたわみが大きくなりやすく、構造体の安定性や仕上げ材の不具合につながることも。
そのため、従来の木造建築ではスパンを短く抑えるのが一般的で、大規模な無柱空間には適していませんでした。
トラス構造が切り拓く木造の可能性
このような制約を克服するために、近年注目されているのが「トラス構造」です。
トラス構造とは、部材を三角形に組み合わせて構成される構造形式で、部材同士が互いに引張・圧縮力を分担し、たわみや曲げモーメントを抑えることができます。
特に、小断面材(一般流通材)を用いて大スパンを実現できる点が最大のメリットです。屋根の荷重も効果的に分散されるため、豪雪地域でも安定した構造性能が確保できます。

木造トラス構造のメリット
①たわみを効果的に抑制
トラス構造は、部材を三角形に構成することで構造的な安定性を高めます。
これにより、一本の大きな梁に荷重が集中する従来の構造に比べて、荷重を複数の部材で分散して支えることができ、たわみを大幅に抑えることが可能となります。
とくにスパンが長い場合にその効果は顕著で、大空間でも構造性能を確保することができます。
②一般流通材で大スパンを実現
従来、大スパンを木造で実現しようとすると、大断面の集成材や特注の製材が必要になることが多く、コストや調達性の面でハードルが高くなっていました。
しかしトラス構造では、比較的小断面の部材を三角形に組むことで高い剛性を確保できるため、一般的に流通している規格材を活用することが可能です。
これによりコストを抑えつつ、施工性も高まります。
③多雪エリアでも対応可能
豪雪地域では、屋根荷重が非常に大きくなるため、建物の構造計画には特に注意が必要です。
トラス構造は、屋根荷重を効率的に分散し、部材にかかる力を合理的に逃がす構成となっているため、多雪エリアにおいても安全性を確保しながら、大スパンの空間設計が可能です。
実際に、北陸などの多雪地域でも木造トラスを採用した大空間建築が増加傾向にあります。

技術革新が支える木造トラスの普及
近年は、プレカット技術の向上により、複雑なトラスの加工や組立も高精度かつ短工期で行えるようになっています。
また、構造計算ソフトの進化により、部材の力の流れを可視化・数値化することが容易になり、安全性を担保しながら自由な設計が可能となっています。
特に、パネルやトラスユニットの事前組み立てにより、現場での作業効率が大幅に向上します。
これにより、従来は敬遠されていた中大規模木造にも、トラス構造が積極的に採用されるようになって
非住宅木造システムWOODCOREによる新トラス構法の提案
WOODCOREでは、木造トラスにラーメンフレームの耐震性を追加した、オリジナルのトラスフレームを商品化しております。
トラスのメリットである大スパンの実現とラーメン構造のメリットであるフレームによる耐震性を兼ね備えた新たな工法です。
プランに合わせて最適な構造計画をご提案させていただきますので、気軽にご相談ください。