【発注者向け】中大規模木造で知っておきたいコストダウン術
近年、建設資材の高騰や人手不足により、プロジェクトの総工費が予算を超過し、計画の見直しを迫られるケースが後を絶ちません。
特に鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)で計画されている事業主様にとって、鋼材価格の上昇や納期の遅れは深刻な経営課題となっています。
そこで今、最も注目されている解決策が「中大規模木造」への転換です。
かつては「木造は中大規模建築に向かない」と言われていましたが、法改正や技術革新により、現在ではコスト、工期、環境性能において、木造は鉄骨・RC造に引けを取らない、あるいはそれ以上のメリットを出せる選択肢となりました。
しかし、単に「木に変えれば安くなる」わけではなく、適切な「コストダウン」の手法と、市場の変動を見極めた「資材高騰対策」が必要です。
本記事では、木材供給と構造加工のプロフェッショナルであるウッドリンクが、中大規模木造のリアルなコスト構造を徹底解説します。
坪単価の比較だけでなく、基礎工事、税制メリット、そして私たちが得意とする構造合理化によるコスト削減術まで、発注者様の事業成功に直結する情報を網羅しました。
ぜひ、賢い建築計画の一助としてお役立てください。
このコラムでわかること
- 【コスト比較】中大規模木造は鉄骨造・RC造よりなぜ安いのか?
- 坪単価だけで判断しない!基礎・地盤改良費の圧倒的な差
- 工期短縮がもたらす人件費と仮設費の大幅削減
- 解体・廃棄コストまで見据えたライフサイクルコストの優位性
- 【税制メリット】キャッシュフローを改善する「法定耐用年数」
- 木造22年 vs 鉄骨34年!減価償却による節税効果の大きさ
- 修繕費と経年劣化リスクの比較と管理コスト
- 不動産投資としての利回りを最大化する木造の強み
- 【資材高騰対策】変動する建設市場で木造を選ぶべき理由
- 鉄骨・コンクリート価格の高騰リスクと木材価格の現状
- 国産材活用によるサプライチェーンの安定化とコスト管理
- ウッドショックの教訓と現在の市場価格の適正化について
- 【補助金活用】中大規模木造における資金調達の最大化
- 国が推進する木造化!活用すべき主要な補助金・助成金
- JAS構造材活用や省エネ性能による加点と採択のポイント
- ESG投資・脱炭素経営としての「環境価値」をコスト換算する
- 【ウッドリンクの提案】構造合理化による真のコストダウン手法
- 構造計算とプレカット連携で無駄な部材を削減する技術
- 特殊な金物・工法に頼らない「一般流通材」活用のメリット
- 設計段階からの早期介入による予算遵守
- まとめ
- ウッドリンクは中大規模木造の頼れるパートナー
【コスト比較】中大規模木造は鉄骨造・RC造よりなぜ安いのか?
「木造は鉄骨造より安い」と一般的に言われますが、その根拠を正確に把握しているでしょうか?
単に構造材(骨組み)の価格差だけを見ていると、実際の見積もりが出た際に「思ったほど安くない」という事態になりかねません。
中大規模木造におけるコストメリットの本質は、建物全体への波及効果にあります。
前提として、木材は鉄やコンクリートに比べて圧倒的に軽量です。
この「軽さ」こそが、見えない部分のコストを劇的に下げる鍵となります。
ここでは、躯体費以外の要素も含めたトータルコストの視点から、木造がなぜ経済合理性に優れているのかを解説します。
坪単価だけで判断しない!基礎・地盤改良費の圧倒的な差
建設コストを比較する際、上部構造の坪単価ばかりに目が向きがちですが、実は「足元」に大きなコスト差が生まれます。
木造の建物重量は、鉄骨造の約1/2、RC造の約1/5〜1/4程度と非常に軽量です。
建物が軽いということは、それを支える地盤への負荷が少ないことを意味します。
軟弱地盤での建設の場合、重量のある鉄骨・RC造では高額な杭工事や大規模な地盤改良が必要不可欠ですが、木造であれば簡易な地盤改良や直接基礎で対応できるケースが多々あります。
この基礎・地盤工事費だけで、総工費の数%〜10%以上のコストダウンにつながることも珍しくありません。
見えなくなる部分だからこそ、初期段階での構造種別の選定が重要です。
工期短縮がもたらす人件費と仮設費の大幅削減
建設現場における「時間」はそのまま「コスト」に直結します。
中大規模木造は、あらかじめ工場で精密に加工(プレカット)された部材を現場で組み立てる乾式工法が主流です。
これに対し、RC造は型枠を組み、コンクリートを流し込み、乾燥させる養生期間が必要な湿式工法であり、天候にも左右されやすく工期が長期化します。
木造はRC造と比較して工期を2〜3割程度短縮できる傾向にあります。
工期が短くなれば、現場監督や職人の人件費、足場やクレーンなどの仮設材リース料、現場管理費を大幅に圧縮できます。
また、発注者様にとっては、建物が早く完成することで早期の事業開始・収益化が可能になるという、キャッシュフロー上の大きなメリットも生まれます。
解体・廃棄コストまで見据えたライフサイクルコストの優位性
建物を建てる時だけでなく、将来の「解体」まで見据えたコスト計算はお済みでしょうか?
事業用建築物の場合、数十年後の建て替えや用途変更、売却による更地化が必要になるタイミングが訪れます。
木造は解体が容易であり、鉄骨や強固なRC造に比べて解体費用を大幅に安く抑えることができます。
また、廃棄物処理においても、コンクリート塊の処理費が高騰する一方で、木材はバイオマス燃料やチップとしての再利用ルートが確立されてきており、環境負荷も処分コストも低く済みます。
建設から解体までのライフサイクル全体(LCC)で見たとき、木造は将来の負担を最小化できる賢明な選択肢と言えるのです。
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【税制メリット】キャッシュフローを改善する「法定耐用年数」
事業用建築物の発注者様にとって、建設費(イニシャルコスト)と同じくらい重要なのが、税務上の処理とキャッシュフローへの影響です。
日本の税制において、建物の用途・構造によって定められた「法定耐用年数」は、減価償却費の計算に直結します。
実は、中大規模木造が多くの企業オーナーや投資家に選ばれる最大の理由の一つが、この税制上のメリットにあります。
木造を選択することで、鉄骨やRC造では実現できないスピードで経費化を進め、手元の資金を厚くすることが可能になります。
ここでは、経営戦略としての木造建築の税制優遇について深掘りします。
木造22年 vs 鉄骨34年!減価償却による節税効果の大きさ
建物の法定耐用年数は、RC造が47年、重量鉄骨造が34年であるのに対し、木造は「22年」と短く設定されています。(※建築用途により、法定耐用年数は異なります。本記事では住宅用の年数を例に解説します。)
これは、同じ建築費であれば、木造の方が1年あたりに計上できる減価償却費(経費)が大きくなることを意味します。
例えば、利益が出ている企業が新社屋や店舗を木造で建てた場合、短期間で多額の経費を計上できるため、法人税を大幅に圧縮する効果が期待できます。
結果として、税引後の手残りキャッシュフローが増加し、次の投資への資金繰りがスムーズになります。
初期投資の早期回収を目指す事業計画において、木造の「減価償却の速さ」は強力な武器となります。
修繕費と経年劣化リスクの比較と管理コスト
「木造はメンテナンス費が高いのでは?」という懸念を持たれることがありますが、近年の技術向上によりその常識は変わりつつあります。
確かに外壁や屋根のメンテナンスは構造に関わらず必要ですが、構造躯体に関しては、適切な通気・防湿対策を行えば高い耐久性を維持できます。
むしろRC造の場合、経年によるコンクリートの中性化やひび割れ、それに伴う鉄筋の錆など、補修が大掛かりで高額になるリスクがあります。
一方、木造は部分的な補修やリノベーションが容易です。
間取りの変更や配管の更新も比較的簡単に行えるため、事業の変化に合わせた建物のアップデートにかかるコスト(管理コスト)を柔軟にコントロールしやすい点もメリットです。
不動産投資としての利回りを最大化する木造の強み
賃貸マンションや高齢者施設、商業テナントなどの収益物件において、「利回り」は重要指標です。
前述の通り、木造は建設コスト(分母)を抑えやすく、かつ減価償却による節税効果で実質的な収益(分子)を高めやすいため、ROI(投資対効果)が鉄骨・RC造に比べて高くなる傾向にあります。
また、近年では「木の空間」が持つリラックス効果やデザイン性が高く評価され、テナントの誘致や入居率の向上に寄与するケースが増えています。
競合物件との差別化要素として木造の意匠性を活用することで、家賃設定を強気に維持できるなど、ソフト面での収益性向上にも木造は貢献します。
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【資材高騰対策】変動する建設市場で木造を選ぶべき理由
世界情勢の不安定化やエネルギー価格の上昇により、建設資材の価格は予断を許さない状況が続いています。
特に「鋼材」や「セメント」は、製造過程で大量のエネルギーを消費するため、原料価格の高騰がダイレクトに価格へ転嫁されます。
こうした市況の中で、発注者様がリスクを回避するために注目すべきなのが「木材」の特性です。
もちろん木材価格も変動しますが、他構造に比べてコントロールしやすい側面があります。
ここでは、資材高騰リスクに対する木造の優位性と、安定調達のための考え方を解説します。
鉄骨・コンクリート価格の高騰リスクと木材価格の現状
鉄骨造で使用する鋼材は、国際相場の影響を強く受け、見積もり時点から着工時までに価格が跳ね上がるリスクが常にあります。
また、RC造もセメント価格に加え、型枠合板や鉄筋価格の上昇が重なり、コスト管理が非常に難しくなっています。
一方、木材価格は「ウッドショック」で一時高騰しましたが、現在は輸入材・国産材ともに価格は落ち着きを取り戻し、安定水準で推移しています。
木材は再生可能な循環型資源であり、鉱物資源のような枯渇リスクや採掘コスト増の影響を受けにくい性質があります。
長期的な視点で見ても、木造はコストの予見性が高い工法と言えます。
国産材活用によるサプライチェーンの安定化とコスト管理
為替変動(円安)や海外の輸送コスト増の影響を回避する最善策は、「国産材」の活用です。
かつては輸入材の方が安価でしたが、現在は価格差が縮小、あるいは国産材の方がコストメリットが出るケースも増えています。
日本は国土の約7割が森林という森林大国です。
地場の木材(杉やヒノキ)を活用することで、海外情勢に左右されない安定したサプライチェーンを確保できます。
また、輸送距離が短いため物流コストも抑えられ、CO2排出量削減にも寄与します。
ウッドショックの教訓と現在の市場価格の適正化について
「またウッドショックが来るのではないか?」という不安をお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、業界全体がその教訓を生かし、在庫の多重確保や調達ルートの分散化を進めています。
特に重要なのは、設計段階から「市場に流通している一般的なサイズの木材(一般流通材)」で建てられるように計画することです。
特注サイズの大断面集成材に依存すると、価格変動や納期遅延のリスクが高まります。
ウッドリンクは、市場在庫が豊富な一般流通材を組み合わせ、特殊な木材を使わずに中大規模空間を実現する構法を推奨しています。
これにより、市場価格が変動しても、代替品の確保やコスト調整が容易になります。
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【補助金活用】中大規模木造における資金調達の最大化
国は現在、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建築物の木造化・木質化を強力に推進しています。
そのため、中大規模木造には、鉄骨やRC造では対象とならない手厚い補助金制度が多数用意されています。
これらを上手く活用することで、実質的な建設コストを圧縮できる可能性があります。
しかし、補助金は要件が複雑で、申請タイミングもシビアです。
「知らなかった」で損をしないために、主要な補助金制度と、採択されるためのポイントを押さえておくことが重要です。
国が推進する木造化!活用すべき主要な補助金・助成金
中大規模木造で活用できる代表的な補助金には、国土交通省の「優良木造建築物等整備推進事業」や、林野庁の「JAS構造材実証支援事業」、環境省の「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)関連補助金」などがあります。
例えば「JAS構造材実証支援事業」では、構造材にJAS製品を使用することで、調達費の一部が助成されます。
また、木造は断熱性能を高めやすいため、省エネ性能を評価するZEB補助金との相性も抜群です。
自治体によっては県産材使用に対する独自の上乗せ補助を行っている場合もあるため、計画初期段階でエリア特有の制度も含めてリサーチすることが、コストダウンの第一歩です。
JAS構造材活用や省エネ性能による加点と採択のポイント
補助金は申請すれば必ずもらえるものではなく、採択審査があります。
採択率を高めるためには、国の政策意図に合致した仕様にする必要があります。
具体的には、「JAS構造材の積極的な利用」「地域材の活用」「高い省エネ性能(省エネ基準適合やZEB化)」などが評価ポイントです。
特に、構造計算によって安全性が証明された木造建築は評価が高くなります。
品質が保証されたJAS製品や強度等級が明確な木材を使用することで、補助金申請の要件をクリアしやすく、スムーズな手続きを行うことができます。
ESG投資・脱炭素経営としての「環境価値」をコスト換算する
直接的な補助金だけでなく、木造化による「環境価値」もコストメリットとして捉えるべきです。
木材は炭素を固定するため、木造建築を建てることは「街の中に森を作る(炭素貯蔵)」ことと同義です。
この環境貢献度は、企業のSDGsやESG投資(環境・社会・ガバナンスへの取り組みを重視する投資)の文脈で高く評価されます。
グリーンファイナンス(環境配慮型プロジェクトへの融資)での金利優遇を受けられたり、企業のブランドイメージ向上による広告宣伝費の削減効果など、間接的ながら大きな経済効果を生み出します。
中大規模木造は、単なる建物ではなく、企業の姿勢を示す「アイコン」となるのです。
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【2025年1月最新版】非住宅に使える、木造建築に関わる補助金・助成金
【ウッドリンクの提案】構造合理化による真のコストダウン手法
ここまで一般的な木造のメリットをお伝えしましたが、すべての木造建築がコストダウンに成功するわけではありません。
中大規模木造でコストが膨らむ最大の原因は、「過剰な設計」と「特注部材の多用」です。
鉄骨造の感覚で設計された図面を無理やり木造に置き換えると、部材が巨大化し、加工費も高騰します。
ウッドリンクは、単なるプレカット会社ではありません。
構造設計(許容応力度計算)とプレカット加工を自社で一貫して行うことで、設計段階からコストを最適化するソリューションを提供しています。
ウッドリンクだからこそできる、中大規模木造の「真のコストダウン」手法を公開します。
構造計算とプレカット連携で無駄な部材を削減する技術
多くの現場では、構造設計と木材加工(プレカット)が別々の会社で行われています。
そのため、加工のしやすさや歩留まり(材料の無駄のなさ)が考慮されず、安全率を過剰に見込んだ不経済な設計になりがちです。
ウッドリンクは、構造設計部門とプレカット工場が密接に連携しています。
「標準的な長さの木材で架構を組むにはどうすればいいか?」「この金物なら加工費を抑えられる」といった現場視点を設計にフィードバックします。
構造計算によって無駄を削ぎ落とし、必要十分な強度を確保しつつ、木材使用量を最適化することで、他社には真似できないコスト競争力を生み出します。
特殊な金物・工法に頼らない「一般流通材」活用のメリット
中大規模木造では、特殊な特許工法や、高価な特注製作金物が使われることがあります。
これらは施工性は良いものの、部材単価が非常に高く、コストアップの主因となります。
ウッドリンクの強みは、「一般流通材」と「既製金物」を組み合わせた工法で、中大規模空間を実現するノウハウを持っていることです。
特殊な部材を使わないため、資材調達が容易で価格も安定的です。
入手しやすい材料で、高度な構造計算技術を用いて大空間を作る。
これこそが、資材高騰時代における最も強いコストダウン策です。
設計段階からの早期介入による予算遵守
建築コストが決まるのは、契約時ではなく「基本設計」の段階です。
図面が完成してから見積もりを取ると、予算オーバーで設計変更(手戻り)が発生し、時間もコストも浪費します。
ウッドリンクは、計画の初期段階からご相談いただくことを推奨しています。
概算段階で正確な構造計画とコストシミュレーションを提示し、「このスパン(柱間隔)ならコストが下がる」といったプロの助言を行います。
早期にコストの着地点を見極めることで、発注者様の予算内でのプロジェクト完遂を確実にサポートします。
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まとめ
中大規模木造への取り組みは、単なる「建設費の削減」にとどまらず、工期短縮による早期収益化、減価償却による節税、そして脱炭素社会への貢献という企業ブランディングまで、発注者様の事業全体に多大なメリットをもたらします。
しかし、そのメリットを最大化するためには、鉄骨造の真似事ではない「木造ならではの合理的な設計と調達」が不可欠です。
資材高騰が続く今だからこそ、特殊な工法に頼らず、一般流通材と高度な構造計算技術を駆使する知恵が求められています。
ウッドリンクは、木材の供給から構造計算、プレカット加工までをワンストップで提供できる強みを活かし、発注者様と設計者様の実務を強力にサポートいたします。
「木造でコストは合うのか?」「大規模な空間は木で実現できるのか?」といった初期の疑問から、具体的な構造プランの提案まで、ぜひお気軽にご相談ください。
確かな技術と実績で、コストパフォーマンスに優れた中大規模木造を実現します。
ウッドリンクは中大規模木造の頼れるパートナー
中大規模木造にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
ウッドリンクを一言で言えば、「木造建築の構造体メーカー」です。
ウッドリンクでは阪神大震災を機に構造体の独自開発をスタートし、耐震性と断熱性に優れた高品質軸組パネル「プレウォール工法」を開発しました。
現場加工ではなく、プレカットと呼ばれる工場加工を行うことで、品質の安定した高精度な構造体を提供することができます。
降雪地帯で湿度の高い、北陸の気候に適した「プレウォール工法」。
その高い信頼性が支持され、ウッドリンクは構造体メーカーとして北陸No.1シェアの実績があり、倉庫や店舗、高齢者施設などの非住宅の用途にも多くの実績があります。


