新着トピックス

新着トピックスカテゴリ

中大規模木造における事務所の法規・実務の徹底解説

木造 事務所

中大規模木造における事務所法規・実務の徹底解説

 

脱炭素社会の実現に向けた動きが加速する中、建築業界においても環境配慮は避けて通れない重要課題となっています。

特に、企業の顔となる事務所建築において、「中大規模木造」という選択肢が、今、改めて注目を集めています。

中大規模木造の事務所を計画する上では、複雑な法規制、鉄骨造とは異なるコスト感覚、そして特有の構造設計など、乗り越えるべき実務的なハードルが少なくありません。

「法規のどの条文を確認すればよいのか」「コストを抑えるポイントはどこにあるのか」「大スパンのオフィス空間は木造で本当に可能なのか」といった疑問や不安を抱えている方も多いはずです。

本記事では、木構造のプロフェッショナルであるウッドリンクの視点から、こうした実務者の皆様の疑問に答えるべく、中大規模木造の事務所に関する情報を網羅的に解説します。

法規のポイントからコスト・工期の実務、設計をサポートする具体的なソリューションまで、プロジェクトを成功に導くための知識を体系的にお届けします。

 

<特記事項>

法律や条例等は常に改正されていきますし、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なりますので、本記事の内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご理解、ご了承をお願いします。

建築実務者の皆様においては、常に最新の法規等の情報をチェックしつつ、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進めていただくようお願い申し上げます。

 

木造 事務所

なぜ今、事務所に「木造」が選ばれるのか?

木造の事務所が選ばれる理由は、単なる環境性能の高さに留まりません。

 

現代の企業経営が直面する「ESG投資」「財務戦略」「人材確保」という3つの重要課題に対し、木造建築が極めて有効なソリューションを提供するからです。

 

木材利用は、二酸化炭素を固定し脱炭素に貢献するため、SDGsやESGの観点から企業価値を大きく向上させます。

 

また、税法上の減価償却期間が鉄骨造より短いという財務上のメリットも見逃せません。

 

さらに、木がもたらす快適な空間は、従業員のウェルビーイングを高め、生産性向上や優秀な人材の確保にも繋がります。

 

このように、木造事務所は環境・経済・社会の各側面で多角的な価値を創出し、企業の持続的成長を支える戦略的投資として、その重要性を増しているのです。

SDGs・ESG投資で高まる企業価値と木造建築の親和性

現代の企業経営において、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献やESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する姿勢は、投資家や社会から厳しく評価される時代です。

 

この潮流の中で、事務所の木造化は、企業の環境に対するコミットメントを最も分かりやすく、かつ効果的に示す手段となります。

 

木材は成長過程でCO2を吸収・固定し、建材として利用されることで炭素を長期間貯蔵する「第二の森林」としての役割を果たします。

 

これは、カーボンニュートラルの実現に直接貢献するだけでなく、適切に管理された森林資源の循環利用を促進することにも繋がります。

 

自社オフィスを木造で建設するという具体的なアクションは、投資家に対する強力なアピールとなり、ESG評価の向上を通じて資金調達を有利に進める可能性も秘めています。

 

もはや環境配慮はコストではなく、企業価値を高めるための重要な経営戦略です。

法人税にも影響?木造事務所の減価償却メリット

木造の事務所の採用は、環境や社会貢献といった側面だけでなく、企業の財務戦略においても非常に合理的な選択です。

 

その最大の理由が、税法上の「減価償却期間」の違いにあります。

 

事務所用途の場合、鉄骨造(骨格材の肉厚により異なりますが代表例として)の法定耐用年数が38年であるのに対し、木造は22年と大幅に短く設定されています。

 

これは、建物の取得費用をより短い期間で経費として計上できることを意味します。

 

年間の減価償却費が増えることで課税所得が圧縮され、結果として法人税の負担を軽減する効果が期待できるのです。

 

この節税効果は、特にキャッシュフローを重視する企業にとって大きな魅力となります。

 

また、建物のライフサイクルコストで考えた場合、木造は解体が比較的容易であるため、将来的な解体費用を抑えられるというメリットもあります。

 

初期投資だけでなく、運営から解体までのトータルコストと税務上の利点を考慮すると、木造事務所は経済的にも非常に優れた選択肢と言えるでしょう。

採用強化にも繋がる「ウェルネス」な木質オフィス空間

優秀な人材の確保と定着が企業の成長を左右する現代において、従業員が心身ともに健康で快適に働ける「ウェルネス」なオフィス環境の提供は、重要な経営課題です。

 

木をふんだんに使ったオフィス空間は、この課題に対する強力な答えとなります。

 

木材の持つ温かみのある質感や美しい木目は、働く人々に視覚的な安らぎを与え、ストレスを軽減する効果が報告されています。

 

また、木材には調湿効果があり、室内の湿度を快適なレベルに保つ助けとなります。

 

構造材を現しにしたダイナミックなデザインは、企業の先進性や自然との共生といった価値観を体現し、従業員のエンゲージメントを高めるだけでなく、採用活動においても求職者に対してポジティブな企業イメージを与えることができます。

 

単なる作業場所ではなく、創造性や生産性を高め、人が集まりたくなる魅力的な空間を創出する上で、木質化は非常に有効なアプローチなのです。

 

<関連ページ>

木造化・木質化事例(事務所)

木質化

中大規模木造における事務所の建築基準法の重要性

中大規模木造の事務所を設計する上で、建築実務者が最初に直面するのが、複雑な建築基準法の壁です。

 

特に、建物の規模や建設地によって大きく異なる防耐火規定は、設計の自由度とコストに直結するため、正確な理解が不可欠です。

 

まず押さえるべきは、事務所は法27条の「特殊建築物」には該当しないという点です。

 

大規模建築物の主要構造部に関する法21条の規定に従い、高さが16m以下、地階を除く階数が3以下で延べ面積が3,000m2以下の場合は、「その他の建築物」で建設できます。

 

近年の法改正により、従来の仕様規定的な考え方に加え、「75分間準耐火構造」といった、より性能規定的な考え方に基づく新しい選択肢です 。

 

これにより、設計の自由度は格段に向上しました。

中大規模木造の事務所の規模別にみる防耐火のポイント

中大規模木造の事務所における防耐火設計は、プロジェクトのコストと仕様を決定づける重要項目です。

 

法規制は、建物の規模(階数、高さ)と立地(防火地域・準防火地域など)に応じて、求められる性能を段階的に定めています。

 

プロジェクトの初期段階で、計画規模がどの要件に該当するのかを正確に把握することが極めて重要です。

 

高さが16mを超える、または4階建て以上の事務所では、耐火建築物もしくは火災時倒壊防止建築物とするか、あるいは次の1~3に示す防火上の技術的基準に適合する木造建築物の場合は、耐火要件が緩和されます。 

 

①30分の加熱に耐える措置(2階建て以下) 

強度や耐久性に関して安全が確認された集成材、製材等を用い、柱および梁について、通常の火災に対して建築物全体が倒壊する恐れのないことを確かめる(燃えしろ設計)などの追加の措置を行う。 

 

②1時間準耐火の措置等(3階建て以下)

主要構造部を1時間準耐火構造とし、その上で建物の周囲に十分な空地(幅員3m以上の通路)を設けるなど追加の措置を行う。 

 

③75分間準耐火の措置等(4階建て以下) 

主要構造部を75分間準耐火構造とし、その上で防火区画など追加の措置を行う。 

下記の表で、階数別、高さ別、規模別に耐火上の要件をまとめます。

<備考>

・防火地域・準防火地域に建てる場合は、別の規定があります。

・防火地域・準防火地域で延焼防止建築物(外殻強化型) とする事務所の場合、外壁・軒裏を75分間準耐火構造+防火設備・柱など内部の主要構造部は1時間準耐火構造となります。

・複合用途の建築物とする場合は、上表だけとは限りません。

・本記事は2025年9月段階の法規の情報となりますのでご注意ください。

・建築基準法やその他の基準の改正により、内容が変更することがあります。

 

非住宅の場合、規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。

 

そのため、防火・耐火のコストをできるだけ上げないように、建築計画を慎重に検討する必要があります。

中大規模木造の事務所の内装制限と防火区画の規定

木造の事務所において、火災時の延焼を防ぐための区画や仕上げにも注意が必要であり、コストとプランニングの自由度に大きく影響するため、必ず覚えておくべきポイントです。

 

木造の事務所の内装制限は上記の表に該当する規模になると、内装に準不燃材料、難燃材料等の使用が必要などの制限がかかります。

 

火気使用室、地階や無窓居室およびその避難経路は内装制限を受けます。

 

木造の事務所における防火面のポイントは下記です。

 

【隔壁の設置】

建築面積が300m2を超え小屋組が木造である場合には、けた行間隔12m以内ごとに小屋裏に準耐火構造の隔壁を設ける必要がありますが、天井を強化天井としたものについては、隔壁の設置が緩和されます。 

 

【防火壁の設置】

延べ面積が1,000m2を超える木造建築物は、防火壁により1,000m2以内ごとに区画する必要がありますが、これを準耐火建築物とした場合は、防火壁の設置が緩和されます。

木造 事務所

用途地域で変わる!事務所の立地における法的制約

事務所を建設できる場所は、都市計画法で定められた「用途地域」によって厳しく制限されており、プロジェクトの初期段階で敷地の法的制約を確認することは、計画の前提となる非常に重要なプロセスです。

 

事務所は、都市計画の用途地域により次の制限があります。

 

・第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、田園住居専用地域では建てることができません。(地方公共団体の支庁または支庁の用に供する建築物で延べ床面積600m2以内のものは建てることができます。)

 

・第2種中高層住居専用地域では、2階以下で床面積の合計が、1,500m2を超えるものは建てることができません。

 

・第1種住居地域では、一部の用途のものを除き、床面積の合計が3,000m2を超えるものは建てることができません。

 

敷地選定の段階から用途地域の確認を徹底し、計画する事務所の規模が法的に許容されるかどうかをクリアにしておくことが、手戻りのないスムーズなプロジェクト進行の鍵となります。

木造 事務所

木造建築の実践的ソリューション【ウッドリンクの木構造技術】

中大規模木造の設計、特に構造計画は、住宅設計の延長線上では対応が難しい専門領域です。

 

大スパン空間の実現や、複雑な荷重を処理する接合部の設計には、高度な構造知識と経験が求められます 。

 

しかし、木構造に精通した構造設計者は限られており、実務者が気軽に相談できるパートナーを見つけるのは容易ではありません 。

 

ウッドリンクは、こうした設計現場の課題を解決するため、長年培ってきた木構造のノウハウと最新技術を融合させたソリューションを提供しています 。

 

構造計画から高精度なプレカット部材の供給までをワンストップでサポートし、木造設計の経験が少ない実務者でも、安心して中大規模木造プロジェクトに取り組むことが可能です。

設計の自由度が高い非住宅木造システム「WOODCORE」

現代のオフィスには、将来のレイアウト変更に柔軟に対応できる、柱の少ない開放的な大空間が求められます。

 

このニーズに応えるのが、ウッドリンクが提供する非住宅木造システム「WOODCORE」(ウッドコア)です 。

 

WOODCOREは、用途やスパン、積雪条件といったプロジェクトごとの要求に応じて、大断面集成材やトラス構造、ラーメン構造などを柔軟に使い分け、最適な構法を提案するシステムです 。

 

標準化された設計システムを活用することで、特注要素を最小限に抑えながら、コストパフォーマンスの高い大スパン構造を実現します 。

 

これにより、耐力壁に縛られない広々としたオープンプランや、大きな窓を持つ明るい空間を経済的に設計することが可能になります。

 

設計の自由度を確保しつつ、高度な構造安全性と施工の合理化を両立できるのが、WOODCOREの最大の強みです。

構造計画からプレカットまでワンストップで実務をサポート

中大規模木造プロジェクトを成功させる鍵は、設計から加工、施工までのプロセスをいかにスムーズに連携させるかにかかっています。

 

ウッドリンクは、構造体メーカーとして、これらの工程をワンストップでサポートする体制を整えています 。

 

プロジェクトの企画段階から専門家チームが参画し、お客様の要望を丁寧にヒアリング。

 

構造計画や構造計算をサポートし、最適なプランを提案します 。

 

そして、決定した設計データは、自社のプレカット工場に送られ、高精度な加工技術によって忠実に部材化されます 。

 

設計者や建設会社の皆様は、複数の業者と交渉する手間を省き、一貫した窓口でプロジェクトを進めることが可能です 。

 

専門性が高く煩雑になりがちな構造関連の業務を私たちにお任せいただくことで、皆様は設計や施主との対話といった本来の業務に集中することができます。

高い耐震・断熱性能を実現する「プレウォール工法」の応用

事務所建築には、BCP(事業継続計画)の観点から高い耐震性が、また、ランニングコスト削減と快適な執務環境の実現のために高い断熱性が求められます。

 

ウッドリンクが独自開発した高品質軸組パネル「プレウォール工法」は、これらの要求に応える強力なソリューションです 。

 

元々、高い性能が求められる北陸の住宅向けに開発されたこの工法は、軸組と断熱材を一体化したパネル構造により、優れた耐震・断熱性能を発揮します 。

 

このプレウォール工法を事務所建築に応用することで、一般的な工法を上回る性能を確保し、安全で快適、かつ省エネルギーなオフィス空間を実現することが可能です 。

 

<関連ページ>

非住宅木造システム「WOODCORE」

木造 事務潮

まとめ

現代において、事務所を木造で建設することは、単なる工法の選択に留まらず、企業の未来を左右する戦略的な経営判断となりつつあります。

 

SDGsやESG投資への対応という社会的な要請に応え、企業価値を高めるだけでなく、減価償却による税務メリットや、軽量なことによる建設コストの削減、工期短縮による事業性の向上など、経済合理性においても鉄骨造やRC造を凌駕するポテンシャルを秘めています。

 

規模や立地によって複雑に変化する防耐火規定、木造特有の構造設計、コスト管理の勘所など、乗り越えるべき課題は少なくありません。

 

特に、大スパンの開放的なオフィス空間と、構造安全性を高いレベルで両立させる構造計画は、専門的な知見がなければ困難です。

 

しかし、これらの課題は、適切なソリューションを選択することで克服可能です。

 

ウッドリンクは、木構造のプロフェッショナルとして、そのための具体的な解決策をご用意しています。

 

大スパン・大空間を合理的に実現する非住宅木造システム「WOODCORE」や、高い耐震・断熱性能を誇る「プレウォール工法」、そして構造計画からプレカットまでをサポートするワンストップサービスは、木構造に不慣れな実務者であっても、安心してプロジェクトを推進することを可能にします。

 

複雑な構造計算や接合部の設計といった専門領域を信頼できるパートナーに任せることで、設計者の皆様は、本来注力すべき意匠計画や空間の質を高めることに集中できます。

 

木造による事務所への挑戦は、もはや一部の先進的な企業や設計者だけのものではありません。

 

法整備の進展と技術の進化により、その門戸はすべての建築実務者に開かれています。

 

本記事が、皆様の次なるプロジェクトにおいて「木造」という選択肢を具体的に検討する一助となり、そして、そのプロジェクトを成功に導くための羅針盤となれば幸いです。

 

私たちウッドリンクは、北陸トップシェアのプレカットメーカーとして、皆様の挑戦を全力でサポートします 。

 

企画・設計の初期段階から、ぜひお気軽にご相談ください。

 

共に、持続可能で、価値ある建築の未来を創造していきましょう。

中大規模木造にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

ウッドリンク

ウッドリンク中大規模木造の頼れるパートナー

 

ウッドリンクを一言で言えば、「木造建築の構造体メーカー」です。

 

ウッドリンクでは阪神大震災を機に構造体の独自開発をスタートし、耐震性と断熱性に優れた高品質軸組パネル「プレウォール工法」を開発しました。

 

プレウォール工法はこちら

 

現場加工ではなく、プレカットと呼ばれる工場加工を行うことで、品質の安定した高精度な構造体を提供することができます。

 

降雪地帯で湿度の高い、北陸の気候に適した「プレウォール工法」。

 

その高い信頼性が支持され、ウッドリンクは構造体メーカーとして北陸No.1シェアの実績があり、倉庫や店舗、高齢者施設などの非住宅の用途にも多くの実績があります。

 

お問い合わせフォーム

 

 

CAD図面・資料DL ご相談・お見積依頼